東京高等裁判所 昭和25年(う)4807号 判決
弁護人控訴趣意第一点は原審の事実誤認を主張するものであるが原判決が証拠として掲げた証人袴田欣哉、同上薗篤の原審公判廷における各供述を綜合すれば被告人が原判示日時場所において警備に当つていた警視庁巡査袴田欣哉があごひもをかけて冠つていた制帽を故なく暴力を用いて奪取し、以て同人に暴行を加えた事実を認めるに十分であつて、所論に鑑み記録を精査しても原判決には事実の誤認があることは到底これを認め難い。論旨は理由がない。
同控訴の趣意第二点は、原審は帽子を奪つたという行為に対し暴行罪を適用しているのであるが、暴行とは人の身体に対する不法の攻撃をいうのであつて、本件の場合暴行罪を以て問擬することはできないと主張するものであるが原判示被告人の所為はそれ自体人の身体に対する不法な攻撃と認めるに難くないのであるから論旨は理由がない。